○健康診断というファシズム

○健康診断というファシズム

「京都市国民保険からのお知らせ」という分厚い冊子が送られてきた。大きな封筒の裏側を見ると、平成20年度から、メタボリックシンドロームに着目した「特定健康診断」「特定健康指導」が始まったとの注意書きがあった。そもそも、昨今、血液検査をやたらと実施して保険点数を稼ぐ医師がやけに多い。標準値が真ん中に一直線に並んでいるのが正常なんだと。しかし、これこそがおかしいのではなかろうか? いったい標準値とは何なのだろう? 人間の体とはそんなに、標準的な存在でなければならないのだろうか? 縦に一直線にズラリと並ぶ数値には、何となく薄ら寒いものを感じてしまうのは僕だけか? メタボリックシンドロームを血液検査で検証しようとすれば、例えば総コレステロールの値が目安になるようだ。しかし、この総コレステロール値の基準とは、何を根拠にしているのか? たぶん素人目にはさっぱりと分からないのではなかろうか? そもそも歳と伴に、血液検査の数値など、標準値などという目安からゴロゴロはみ出してくるのが当然だろう。50歳を過ぎて、標準値を全てクリアーしている人間なんてかえって気持ちが悪い。血液検査など忘れるほどにやってはいないが、たぶん、僕の数値曲線など、美しいほどにガタガタだろう、と推察する。たぶん総コレステロール値が高ければ、コレステロールを下げる薬、尿酸値が高ければ、それを下げる薬、肝臓の数値であるγ-GPT・GOTの数値が高ければ、数値を下げる薬。中高年は何かと忙しい。飲まねばならぬ薬がどんどん増える。一体、こういう対処療法に何の意味がある、というのだろうか?

健康診断とは、健康という妄想を僕たちに抱かせる、ある種のファシズム的思想ではなかろうか? 健康の形はたった一つの基準で計られるということ自体が、人間存在の多様性を無視した発想のもとに創り上げられた虚妄ではないのか? 「京都市国民健康保険特定健康診査受診票」という気の遠くなるような受診票の中の質問項目は笑わせてくれるではないか ! 全ての質問項目が馬鹿げているが、特に昨今のメタボばやりの項目は失笑すら催させてくれる。曰く、○20歳の時の体重から10kg以上増加していますか? だと。ごく特殊な人々でないかぎり、20歳の頃よりは10kg以上体重が増えていない方がどうかしている。とりわけ57歳の僕などにはアホらしくて、事実はイエスだが、ノーと書いてやりたいところである。曰く○1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施していますか? ですって。無理やろう? そんなこと。運動好きな少数の人たちだって、どうか? と思う。特に僕くらいの年齢にもなれば、なおさらではないだろうか? 僕など毎日歩く距離と言えば精々日に50歩程度だ。決して誇張ではなく、歩く必要などないからだ。曰く○日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか? とくる。毎日満員電車に揺られ、机の上のパソコンに向かって黙々と仕事しているお父さんたちに、こんな酷なこと、出来るはずがないではないか? さらに曰く○ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いですか? なんていう質問にどのような意味があるというのだろうか? そんなこと知るか ! というしかないではないか? 通勤電車から放り出されてホームを歩く人々は、同じ速度で歩かないと、事故が起きる。競争などできるはずがない。また曰く○人と比較して食べる速度が速いですか? って聞くが、どうでもよいではないか? その人、その人に合った食べ方があってあたりまえなのではないか? 曰く○就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ありますか? なんて、昨今の厳しい労働実態を知らない暇人だけが考えつく質問だ。大いにあるだろうに。さらに曰く○夕食後に間食(3食以外の夜食)をとることが週に3回以上ありますか? ある、ある、あるに決まっている。夕食後に腹が減って食する夜食などは最高だ。やめるはずがないね。○睡眠で休養が十分にとれていますか? とれるわけないだろう。夜遅くまで働かされるお父さんたちは、恒常的な睡眠不足だ。休養などが十分にとれる仕事の仕方を厚生労働省が指導しなさい。○運動や食生活等の生活習慣を改善してみようと思いますか? 絶対に思わん。断固拒否する。それに改善とはいったい何を指して言うのかさっぱりわからん。最後に、○生活習慣の改善について保険指導を受ける機会があれば、利用しますか? 絶対に利用などしない。生活習慣とは、その人の人生のあり方、そのものなのだ。簡単に指導という名の矯正などするべきではない。ああ、傲慢。その傲慢さにさえ気づいていない輩の考えそうなことばかり。こういうお為ごかしの試みこそ、健康ファシズムである。行き過ぎた健康管理など、他者の人生そのものを否定しかねない。本当は、怖い思想が隠れている。あるいは表層的には、国民の健康を気づかった振りをしただけの、経済効果を狙っただけの、見え見えの、自己満足的なるケチな税金投入減らしだろうに。アホらし! 今日の観想である。

○推薦図書「コレステロールは高いほうがいい」 笹本進一著。マキノ出版。これまでの検査値の虚妄、食生活の常識になっている非常識、とりわけ流行りのコレステロール低下薬の危険性等々がいっぱい詰まった書です。これくらいの本でも読んで、平均値をご自身で探られではいかがでしょうか? 国の言いなりは嫌なものですから。

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長野安晃

Author:長野安晃
僕は、仕事は心理カウンセラーとして、「京都カウンセリングルーム」(http://www.counselor-nagano.jp/)を主宰しているのですが、僕の書くブログは簡単に言うと僕自身の人生の総括日記です。ジャンルとしては、文学あり、哲学あり、社会学あり、政治・経済あり、要するになんでもありの総括集です。ぜひ読んでください。よろしくお願いします。あなたの人生に何がしかのヒントを与えることが出来ればこの上なき幸せです。

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